平成12年度 臨床実技入門
保険診療のしくみ,審査・査定,保険医の指導
Group 6 (K&L)
1.保険診療の請求・支払のシステム
09-61長岡義晴,09-62 長野ゆり,09-63永原照也
要約
現在日本は国民皆保険であり,医療行為に対して,保険者(70%)と患者本人(30%)が分担して診療費を支払うことになっている。保険組合への支払方法は「出来高制」と言われ,医師が行った診療行為を点数化し,請求用紙(レセプト)に記入して,診療報酬支払基金に提出する。支払基金は医療費の審査機関であり,適切と認められれば保険組合に請求書が回される。保険組合でもう1度チェックを受けた後に,診療報酬が支払基金を通じて医療機関に支払われる。ちなみに,病院の収入=患者の負担+国保連合会(支払基金)である。
Key Words
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出来高制
1日の診療行為を点数化して患者ごとに1ヶ月分をまとめて診療報酬を国に請求するシステム。1点10円で医療機関側には審査の上,請求から2ヶ月後に支払われる。
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診療報酬請求書(レセプト)
「医家診療の手引き」の点数に従って,診療内容や検査,処置,手術,投薬といった項目ごとに分けて診療報酬を請求する請求書。
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保険審査委員会
診療報酬請求書が厚生省が定めた規則や判断に則って請求されているかを審査する委員会。規則に違反したり,間違っていると査定される。委員会の委員は厚生省の出先機関である支払基金事務所から依頼された医師がなる。
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保険者と被保険者
同じ職種の人々(+国・市町村)が出資してつくった組織を保険者(保険組合)といい,出資者を被保険者という。保険組合の仕事は,(1)被保険者から保険料を徴収し保険証を交付する,(2)被保険者が医療機関を受診したときその費用の70%を支払う,こと。
2.審査の仕組み
09-68 二宮 崇,09-69 根本真希代,09-70 野坂和正
審査とは
医療機関から提出されたレセプトを定められた治療と照らし合わせることで不必要な医療費の支払いを防止し,公正に医療費が支払われるようにするもの
※レセプト……診療報酬報告書
審査では
レセプトに記載されている診療内容について,療養担当規則などの定めによって行われているかを審査する。診療内容が適切でないと判断されたら減点し,診療行為の適否判断が難しいものには医療機関に差し戻して再提出を求める。
審査の問題点
審査委員会では,レセプトに基づいて行うため,適切でわかりやすいレセプトが必要である。医学的に適切であっても,保険制度上支払いの適応がないものは審査にて減点になる。
審査の方針
診療行為の種類・回数・実施量について療養担当規則に照らして,不当と認められるかどうか。
3.査定と再審査請求について
09-64 難波理可,09-65 西谷正史,09-66 西山彰博
査定・再審査の流れは,
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患者の支払いの残りを国保連合会に請求する(レセプト提出)
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不備があると支払われない(審査)→正当な場合ここで支払いがなされる
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病院に戻ってくる
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正当な理由があると再び請求できる(再審査)
※遅くとも2週間以内に申し出る
査定の際,減点の対象となるもの
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適応外……「病名もれ」,「臨床上保険適応とならないもの」など
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過剰……常用量以上の投与,多剤投与,高価薬投与,頻回検査など
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重複……薬効類似薬品の同時投与,薬効類似の内服と注射など
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規則違反……禁忌,不適当,用法外使用など
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不必要
4.保険医の指導について
09-71 野坂英樹,09-72 野田善樹,09-73 原田昌明
保険医指導の概要と監査との違い
保険医は健康保険法43条ノ七により厚生大臣または都道府県知事の指導を受ける義務がある。これについては現在,社会保険医療担当者指導大綱(厚生省)に基づき,毎年各都道府県の出す方針により保険医の指導が行われている。
指導の対象は全ての社会保険医療担当者であり,特定に機関に限っているのではなく,その点,不正,不当の疑いの濃厚な機関に対して行われる監査とは明確に区別される。
医師会による自主指導
医師会では,法により義務付けられている行政当局の指導を受ける前に,医師会自らの手による自主指導を重視している。これは,前向きの指導であり,裏を見つけ出そうとする悪意の指導ではなく,どこまでも誤りを早く発見して正してもらう善意の指導である。
大綱指導
平成8年度から,約40年ぶりに指導大綱並びに監査要綱が大幅に改正された。
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目的
保険医療機関等又は保険医等に対して行う,保険診療及び診療報酬請求に関する指導について基本的事項を定めることにより,保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的とする。
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指導方針
指導は保険医療機関等及び保険医等に対し,保険診療の取扱い,診療報酬の請求等に関する事項について,周知徹底させることを主眼とし,懇切丁寧に行う。
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指導形態
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集団指導
地方社会保険事務局及び都道府県又は厚生省並びに地方社会保険事務局及び都道府県が共同で,指導対象となる保険医療機関等又は保険医等を一定の場所に集めて,講習等の方式により行う。
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集団的個別指導
地方社会保険事務局及び都道府県が共同で,指導対象となる保険医療機関等を一定の場所に集めて,個別に簡便な面接懇談方式により行う。
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個別指導
厚生省又は地方社会保険事務局及び都道府県が,次のいずれかの形態により,指導対象となる保険医療機関等を一定の場所に集めて又は当該保険医療機関等において個別に面接懇談方式により行う。
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都道府県個別指導
地方社会保険事務局及び都道府県が共同で行うもの。
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共同指導
厚生省・地方社会保険事務局,都道府県が共同で行うもの(ただし(c)を除く)。
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特定共同指導
厚生省・地方社会保険事務局,都道府県が共同で行うものであって,特定の範囲の保険医療機関等又は緊急性を要する場合等共同で行う必要性が生じた保険医療機関等について行うもの。
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指導対象の選定
指導は原則としてすべての保険医療機関等及び保険医等を対象とするが,効果的かつ効率的な指導を行う観点から,指導形態に応じてそれぞれの基準に基づいて対象となる保険医療機関等又は保険医等の選定を行う。そのために,地方社会保険事務局に,地方社会保険事務局長が指名する技官及び事務官等を構成員とする選定委員会を設置する。また,選定委員会には都道府県の職員も参加することができる。